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10年後のありたい姿に向けて

10年後のありたい姿に向けて
理研ビタミンは、1949年の創立時から「天然物の有効利用を図る技術と商品で、人々の健康と栄養に寄与し、社会に貢献する」を理念に、抽出・精製・濃縮といった技術で商品展開や用途提案を行い、事業の幅を広げてきました。食生活や社会のニーズに対応した製品開発を進めてきたことが、現在の食品事業、改良剤事業、ヘルスケア事業、それぞれの商品につながっています。
これからのウィズコロナ・ポストコロナの時代において、人口動態や気候変動、コロナを契機とした食生活の変化など、当社は事業環境の様々な変化に対応していくことが求められます。このような中で、私たちはどのような会社を目指していくのか、「10年後のありたい姿」は何か。私たちの理念とこれからの事業環境を改めて見つめ直し、「持続可能な社会をスペシャリティな製品とサービスで支え、成長する会社になる」という中長期ビジョンを定めました。経営戦略とサステナビリティの取り組みとを一体化していくサステナブル経営を推進して、当社独自の強みを生かしたスペシャリティな製品とサービスで、当社に関わる皆さまと社会全体のサステナビリティ課題を解決し、それによって成長する会社を目指していきます。
昨年度は「信頼回復と次の成長に向けた長期戦略策定の年」と位置付け、様々な見直しを進めてきました。2022年度は、5月に公表した新中期経営計画に沿って中長期ビジョンに向けた第一歩を踏み出します。新中期経営計画では、「健全なガバナンス体制のもと、社会や環境に配慮した事業推進を行う」、「スペシャリティな製品とサービスで事業を通じた社会課題や環境課題への貢献を行い、持続的成長をとげる」、「社会から信頼され、従業員が誇りをもって働ける企業として前進する」というサステナブル経営基本方針を掲げていきます。その根幹をなすのは、創立以来の天然物の有効利用という理念と独自の技術力です。B to BでもB to Cでも、お客さまにとってスペシャルな、なくてはならない存在。そのようなスペシャリティな企業になることが、持続的な成長へのカギとなります。
サステナブルな企業を目指して
サステナブル経営は、私たちが社会の一員として役割や責任を果たしながら、世界中の皆さまと一緒に成長していく取り組みです。中長期的にこの取り組みをしっかり進めることが、当社にとってこれ以上ない、成長戦略につながるグランドデザインとなります。
また、2019年には当社として力を入れていく「重点テーマ(マテリアリティ)」を特定しています。これらテーマへの取り組みを通して、それぞれに対応するSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献していきます。
重点テーマの1つ、会社全体で貢献していく「研究開発」というテーマでは、天然物の有効利用をはかることをポリシーに研究開発を続けています。例えば、天然由来の化成品用改良剤の農業分野への展開に向け、スギ花粉の飛散抑制剤として農薬申請に向けた試験を行っています。また、プラスチックのバイオマス度を上げるための改良剤や、生分解性プラスチック向けの改良剤など、環境対応製品の売上拡大もはかっていきます。
気候変動の抑制や環境負荷の低減に向けた「汚染防止」や「環境配慮」といったテーマは、持続可能な社会の実現に避けては通れません。気候変動の抑制に向けて、理研ビタミングループとしてGHG(温室効果ガス)排出量を2030年度に40%削減し、2050年度にカーボンニュートラルを目指すという新たな目標を掲げました。2022年4月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が当社グループの事業活動に及ぼす影響について、積極的に情報開示していきます。
また、海藻養殖産業が今後も持続的に発展できるよう、わかめの研究成果をさまざまな海藻に展開しています。例えば、沖縄にてもずくの種苗研究を行っております。また、2021年には岩手県陸前高田市に「陸前高田ベース」を開設し、スジアオノリの陸上養殖を開始しました。海藻は、地球規模の課題を解決する可能性もあります。当社は、日本の食品メーカーの中で最も海藻の研究をしている会社の一つであり、その研究分野を環境課題に広め、「わかめのリケン」から「海藻のリケン」への変革をはかっていきます。
当社グループは、「社会に対し、食を通じて健康と豊かな食生活を提供する」という経営理念のもと、その事業地域の中心を日本からアジア・北米へ拡大していきます。そして、食品・改良剤・ヘルスケア分野のスペシャリティ企業として、持続的成長を遂げていきたいと考えています。
理研ビタミン株式会社
代表取締役社長
