安全性の高い抗菌剤

ポエム C-375

ポエム C-375は、一般細菌、真菌類等、幅広い抗菌スペクトルを有するグリセリン脂肪酸エステル混合物です。ポエム C-375は、植物由来の脂肪酸より構成され、食品添加物として使用されるもので安全性の非常に高い抗菌剤です。

1.特徴

  1. 1広範囲の抗菌スペクトルを有しています。細菌類、真菌類に高い抗菌作用を示します。
  2. 2食品添加物公定書収載のグリセリン脂肪酸エステルに適合しています。
  3. 3植物系の天然原料から構成されています。
  4. 4パラベン類などの抗菌剤を使用しない化粧品処方を組むことができます。
  5. 5低刺激なので敏感肌向け処方にもお使いいただけます。

2.製品情報

性状

無色~微黄色の粘性の液体~固体で、特異な臭いが有る

表示名称

カプリン酸グリセリル, ラウリン酸ポリグリセリル-2

部外品表示名称

グリセリン脂肪酸エステル

INCI名称

Glyceryl Caprate, Polyglyceryl-2 Laurate

中文名称

甘油癸酸酯, 聚甘油-2 月桂酸酯

安全性

皮膚一次刺激性、感作性なし
(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル溶液に本品5%を溶解し、55 名による閉塞 パッチ試験を実施したところ、皮膚刺激および感作性は観察されませんでした。)

3.抗菌力

ポエム C-375の抗菌力を調べるために、以下に示す系で大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、酵母、黒カビを用いてチャレンジテストを行いました。比較試料にはメチルパラベンとプロピルパラベンの混合物(2:1)を用いました。ポエム C-375の抗菌力をより有効に発現させるために、水相に添加してテストを行いました。
この結果、パラベン混合物と同程度の抗菌力を示しました。 図1にポエム C-375、図2にパラベン混合物を次に示す評価処方で使用した場合の試験結果を示します。

評価処方

単位:%

原料 ポエム C-375配合処方 パラベン混合物配合処方
ペンタステアリン酸デカグリセリル

1.0

1.0

ベヘニルアルコール

2.75

2.75

ステアロイル乳酸Na

0.25

0.25

親油型モノステアリン酸グリセリル

1.5

1.5

植物性スクワラン

7.0

7.0

トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル

5.0

5.0

メチルポリシロキサン

1.0

1.0

プロピルパラベン

-

0.1

メチルパラベン

-

0.2

1,3―ブチレングリコール

5.0

5.0

濃グリセリン

2.5

2.5

キサンタンガム

0.3

0.3

ポエム C-375

0.5

-

図1.ポエム C-375配合処方

図2.パラベン混合物配合処方

4.スティンギング

ポエム C-375のスティンギング刺激を調べるために、以下に示す処方においてスティンギング試験を行いました。スティンギング刺激を認知できる被験者3名の頬骨の上に、コットンに含侵させたものを1分間静置し、刺激をスコア化しました。スコアは、【0(無刺激)→4(強刺激)】の5段階で評価しました。
この結果、ポエム C-375配合処方は、パラベン配合処方より低刺激であることを示しました。 図3にスティンギング試験結果を示します。

評価処方

単位:%

原料 ブランク ポエム C-375配合処方 パラベン配合処方
0.5%配合 1.0%配合
1,3―ブチレングリコール

5.0

5.0

5.0

5.0

メチルパラベン

-

-

-

0.15

ポエム C-375

-

0.5

1.0

-

精製水

残部

残部

残部

残部

図3.スティンギング試験結果

5.溶解性

汎用化粧品原料に対するポエム C-375(10wt%)の25℃、80℃における溶解性を測定致しました。 ポエム C-375を各化粧品原料に10wt%加え、80℃に加温し攪拌・溶解したときの状態と25℃での保管後の状態を下表に示しました。

表.ポエムC-375の溶解性

化粧品原料 80℃ 25℃
精製水

D

D

1,3―ブチレングリコール

S

S

グリセリン

D

D

エタノール

S

S

トリ2-エチルへキサン酸グリセリル

I

I

トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル

I

I

2-エチルへキサン酸セチル

S

S

パルミチン酸オクチル

S

S

ホホバ油

I

I

マカデミアンナッツ油

I

I

オリーブ油

I

I

スクワラン

I

I

流動パラフィン(♯70)

I

I

デカメチルシクロペンタシロキサン

I

I

メチルフェニルポリシロキサン

S

I

メチルポリシロキサン

I

I

S:溶解 I:不溶 D:分散

6.使用方法

ポエム C-375の抗菌力をより有効に発現させるため、次のような添加方法をお薦め致します。

  1. 1乳化系の場合:ポエム C-375を水相に分散させて添加してください。
  2. 2シャンプー、洗顔フォームなど洗浄用製品の場合:基剤を混合するときに添加してください。
  3. 3透明製品の場合:界面活性剤、多価アルコール類に添加して溶解後、水相を添加してください。

7.参考処方例

抗菌剤は使用する乳化剤、可溶化剤などにより不活性化されることがあります。しかし、ポエム C-375は、乳化剤及び可溶化剤として酸化エチレン付加物を用いた場合においても優れた抗菌作用が確認されました。

スキンクリーム

単位:%

原料 配合量
(A) ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル

1.3

親油型モノステアリン酸グリセリル

1.4

テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット

1.3

ベヘニルアルコール

2.0

スクワラン

15.0

トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル

5.0

(B) 1,3―ブチレングリコール

5.0

グリセリン

2.5

キサンタンガム

0.3

ポエム C-375

1.0

精製水

全量で100

調製方法

(A)、(B)を80℃に加温して溶解した後、80℃にて(A)を攪拌しながら(B)を 添加し冷却しながら35℃まで攪拌を続ける。

スキンローション

単位:%

原料 配合量
(A) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンテトラデシルエーテル

1.0

マカデミアンナッツ油

0.1

ポエム C-375

1.0

1,3―ブチレングリコール

3.0

グリセリン

3.0

(B) 精製水

全量で100

調製方法

(A)、(B)を80℃に加温して溶解した後、80℃にて(A)を攪拌しながら(B)を 添加し冷却しながら35℃まで攪拌を続ける。

8.使用上の注意点

  • ポエム C-375は、配合成分の一部の融点が室温以上のため、室温での保存で固化する部分があります。このため、40~50℃で溶解させ、均一性を確認してからご使用ください。
  • 上記データは弊社の試験基準により作成したものであり、使用される条件により性能が異なることが有りますので、充分試験の上、ご使用ください。
  • 上記処方は参考としてのものであり、最終製品の安定性などの品質を保証するものではありません。