ペットボトル飲料の製造効率アップに！飲料用乳化剤

ペットボトル飲料の製造では、一般的に「UHT法（Ultra High Temperature法）」という120~150℃で数秒加熱して殺菌する方法が用いられます。急速加熱・急速冷却で加熱時間を最小限にすることで、フレッシュなおいしさが保たれます。

ミルクコーヒーのように乳成分由来のタンパク質などを含む飲料では、この急速加熱時に、製造ライン内部に焦げ付きが発生することがあります。急速加熱によってタンパク質が熱変性することが原因だと考えられます。焦げ付きが詰まらないように、定期的に洗浄する手間が発生しています。

こうした焦げ付きの発生を抑えるため、飲料用には「有機酸モノグリセライド」という種類の乳化剤を提案しています。
有機酸モノグリセライドはそれ自体が有機酸由来のマイナス電荷を帯びているので、タンパク質のプラス電荷と引き寄せあって複合体を作ります。このように、飲料用乳化剤がタンパク質に作用することで、急速加熱時の熱変性が和らぐと考えられています。

焦げ付きの量が減ることでさまざまなメリットがあります。洗浄の回数を減らすことができれば省人化につながります。また、今まで焦げ付きやすくて作れなかった濃厚なミルクコーヒーが製造できるようになれば、新たな商品開発につながります。

UHT殺菌機内部の加熱プレート

乳化剤なし

乳化剤あり

この飲料用乳化剤が活躍するのは製造時だけではありません。経時的な保存安定性にも効果があります。
油は水よりも軽いので、ミルクコーヒー中に分散した油分は上に浮いていき、時間が経つと分離していきます。しかし飲料用乳化剤があると分散状態が保たれます。飲料用乳化剤は油にも作用するためです。飲料用乳化剤が作用した油滴は、有機酸由来のマイナス電荷を帯びています。このマイナス電荷を帯びた油滴どうしが反発しあって安定化するのです。

タンパク質と油の両方に作用し、ひとつの乳化剤で２つの効果を発揮する飲料用乳化剤。製造時に、保存時に、実は乳化剤が活躍しています。